【例文あり】自己PRでコミュニケーション能力を伝えるときのポイントをご紹介
「コミュニケーション能力とは何ですか」と聞かれたら、即座に答えられるでしょうか。コミュケーション能力は多くの企業が採用を決める際、重要視していることの一つです。とはいえ、企業が求めているのは単に、面白く話す力や、話し続ける力ではありません。
企業が求めるコミュニケーション能力を持った人とは、自分の意見を明確に伝えることができる人、説得力がある人、聞き上手な人、場の空気を読んで行動ができる人、他人の意見を受け入れることができる人、社内で「報連相=(報告、連絡、相談)」が的確にできる人のことです。
コミュニケーション能力をアピールする学生は、非常に多いです。しかし、何の戦略もなく自己PRをしても、採用担当者の心には響きません。どういう戦略なら響くのか、ここで、わかりやすい例文をあげて、ポイントを解説いたします。
目次
コミュニケーション能力を重視している企業は多い!!
採用を決定する時、企業が最も重要視している評価項目が「コミュニケーション能力」です。日本経済団体連合会の「新卒採用に関するアンケート調査」では、83.0%の企業が応募者のコミュニケーション能力を重視していると報告しています。
参考:日本経済団体連合会「2017 年度 新卒採用に関するアンケート調査結果」(2018年3月)
では、「私はコミュニケーション能力が高い人間です」と自己PRをすれば選考を突破できるのでしょうか。答えはNOです。むしろ抽象的な「コミュニケーション能力」という言葉は使わない方がいいです。
もっと具体的な表現に言い換えましょう。例えば、「会話の中で、相手が求めていることを的確に、すばやく理解でき、適切な対応がとれます」といった表現はどうでしょうか。
表現を具体的にすると、企業側も、「この人は当社で活かせるかもしれない」と判断できますし、エピソードを添えることで、より興味を持ってもらえるのです。このような、ちょっとした工夫で、あなたの自己PRの質がぐんとアップします。
企業が求めるコミュニケーション能力が高い人はこんな人
企業が求めるコミュニケーション能力とは、単に「友達が多い」「おしゃべり好き」「大勢の前でも緊張しない」といった能力とは違うことが理解いただけたと思います。
コミュニケーション能力が高い人は、明るい人が多く、どんな人でも受け入れる雰囲気をもっていて、場が和みます。また好奇心旺盛で、小回りが利き、世話好きな一面もあります。そのため、他人にも強い興味・関心をもち、人の考えを積極的に理解しようとします。その結果、人との信頼関係が構築しやすいのです。
では、具体的にコミュニケーション能力を持った人とはどんな人なのかを見ていきましょう。
自分の意見を明確に伝えることができる人
社内の会議で、それぞれがアイデアを出している場面を想像してください。黙って人の意見ばかり聞いていては、アイデアがないと思われてしまうでしょう。コミュニケーション能力が高い人は、他のメンバーの意見をしっかり聞きつつ、自分の意見も明確に主張します。そうすることで、アイデアを練り上げ、最終的に質の高いアイデアに変わっていくのです。
後でも触れますが、大切なこと、すなわち結論を最初に述べることが大切です。そうすることで、自分の考えがまとまり、会議のメンバーにも自分が言いたいことが明確に伝わります。
説得力がある人
相手に「この人の話には説得力がある」と印象付けるためには、エピソードを入れてみましょう。自分が実際に経験したことを紹介するのです。たとえ失敗例であっても、そのあとのフォローさえしっかりしていれば、大丈夫です。
ここでも、大事な結論を最初に述べることで、相手に誤解される危険が防げます。注意しなければならないことは、自分の経験なので主観的になりやすいということです。数字や%をあげて客観的な事実が述べられると、自己PRの質が格段に上がります。
聞き上手な人
一方的に話すのではなく、相手の言うことに耳を傾け、目を見て話す姿勢や態度も「コミュニケーション力」をアピールする重要なポイントです。コミュニケーション能力が高い人は、「自分の考えと相手の話の共通点はどこか、相違点はどこか、相手が伝えたい気持ちは何か」などを、会話からとらえようとします。
相手とうちとける空間を作り上げ、話やすくなるように適度なあいづちを入れて、真摯に聞く姿勢を見せることで、相手も、自分の意見をできるだけ丁寧に伝えてくれます。相手の意見をしっかり理解したうえで、自分はどう思うか、という結論を中心に述べると、信頼関係を深めることができます。すなわち、聞き上手な人が、コミュニケーション能力が高い人なのです。
場の空気が読んで行動ができる人
「空気を読む」とは場の雰囲気を読み取ることです。すなわち、その場の雰囲気から状況を推察することです。具体的には、今、自分が何をすべきなのか、何をすべきではないのかを考えて行動します。あるいは、相手が今、何を希望し、何をしてほしくないのかを想像して、的確に判断することを指します。
自己中心性が強い人や、マイペース型の人は空気が読めないと思われる可能性が高いので、注意しましょう。
空気を読むためには、ひとつの話題が「はじまりなのか?終わりなのか?」、会話が「まだ続くのか?終わりに近づいているのか?」など、会話のスタートとエンドを見極めましょう。
それらを把握するためには、会話に耳を傾けながらも、そこにいる人々の表情や態度にも意識を向けていなければなりません。
相手の状況を観察し、スタートとエンドのタイミングを知ることで、心情を掴むことができます。つまり、気をつかう・気を配ること=空気を読むことといえます。
他人の意見を受け入れることができる人
社内のスタッフと意見が違ったり、誤解を与えてしまったりするとき、あなたはどう対処しますか。立場の違う人の意見を否定してはいけません。なぜ、自分の意見と違うのか、分析する能力も企業は求めています。
誤解を与えてしまったときは、すぐに気づき、軌道修正しなければなりません。意地をはらず、素直な気持ちになることが大切です。
顧客からサービスに関する苦情が来たときは、相手の心情をしっかりくみ取って、納得して頂けるよう、誠意を尽くすことが肝心です。
社内で「報連相=(報告、連絡、相談)」ができる人
スタッフ同士で、あるいは後輩から先輩・上司に報告、連絡、相談をしっかりと行い、業務を遂行できる能力をいいます。
メールやチャットなどの文字によるコミュニケーションで、気持ち良く相手と意思疎通できる能力は、どのような企業で働くうえでも、大変重要なものです。
コミュニケーション能力を魅力的に伝えましょう
ここでは抽象的で、使わない方がよいと言った「コミュニケーション能力」をどうすれば、魅力的に伝えることが出来るかを、説明します。そもそも自分から「私はコミュニケーション能力があります」とは日常会話でもあまり使わないと思います。
コミュニケーション能力は会話をしているときに、言葉やジェスチャー、態度の中から、にじみ出るものです。
大事なことは最初に!結論から伝える
具体的なエピソードから話を始めてしまうと、だらだらした印象を与えてしまいます。まず、結論を伝えてください。そうすることで、次に述べるエピソードの話題や輪郭が相手に想像しやすくなり、理解度が高まります。
自分にとっても、立場を明確にしたことで、無駄な話をはぶいたり、まとめたりする助けになります。そのあとで、補足したいことがあれば、説明してください。
苦手な人は、普段の生活で会話するときや、人前でスピーチをするときでも、まずは「自分のいちばん言いたいこと」を明確にする習慣をつけておきましょう。これは就活だけでなく、生活全般に応用できますので、日頃からまず結論を述べて、会話を進める訓練をしておくといいですね。そうすれば結果的には、相手にも理解してもらいやすくなります。
具体的なエピソードを5wⅠhで伝える
- いつ(When) 例: カナダに短期留学をしたとき
- どこで(Where)例: ホストファミリーの家で
- だれが(Who) 例:私とホストが
- なにを(What) 例:すき焼きを食べようとしていた時、私が感情的になってしまった出来事
- なぜ(Why) 例: ホストブラザーの心ない(悪気はない)言葉があったから
- どのように(How) 例:言葉できちんと説明をしたら、わかってもらえたことが自分の英語力の自信につながった。
エピソードは成功例だけとは限りません。いくらコミュニケーション力が高くても、いつでもコミュニケーションがうまくいくとは限りません。
企業側も「うまくいったこと」だけを求めているわけではありません。目的は達成されなくても、「どのような心境の変化が起こったのか」「その後どのような努力をしているのか」を必ず伝えておくことが大切です。
コミュニケーション能力が仕事にどう活きるのかを伝える
最後に、仕事にどのように活かせるかを述べましょう。繰り返しになりますが、人事は「この人は自社の仕事で活躍することができるか」を見ています。そのため、あなたが仕事でどんなことをしたいのか、どのように働きたいのかを知りたいのです。
コミュニケーション能力が伝わる例文
コミュニケーション能力が伝わる例文①:アルバイト編
相手が何を言いたいのかを即座に判断し、言葉の裏にあるものを見抜く力の大切さを知りました。大学に入学してから、現在までの4年間、飲食店でアルバイトをしています。店が私のリーダーシップを買ってくれ、新人の教育係をしています。
あるとき、スタッフの一人の中国人学生が、店長と言い争いになってしまいました。外出していた店長が「エアコンついてないのか?」と店に帰るなり言うと、中国人学生が「今朝からエアコンはついていません」と返答したことが原因です。言葉の裏にある「エアコンをつければいいのに……」という店長の意図が伝わらなかったのです。
中国人スタッフにその点を十分に私が説明し、店長に謝罪させました。あれから2年になりますが、中国人学生は今では日本語も上手になり、気持ちよく勤務してきています。
スタッフ同士だけでなく、お客様とのやりとりにおいても、相手が何を言いたいのかを即座に判断して、円滑な人間関係が構築できるよう、この経験を貴社においても活かし、頑張っていきたいと思っています。
コミュニケーション能力が伝わる例文②:部活動編
「人間関係の大切さを教えてくれた、大学時代の部活についてお話しします。私は陸上部のキャプテンをしていました。個人プレーの多い陸上部ですが、駅伝等ではチームプレーが重要になってきます。
あるとき、メンバーの一人が部活を辞めたいと言ってきました。私はじっくり話を聞いてあげようと思い、夕食に誘いました。一緒に食べながら、お互いが心を割って話すことができ、悩んでいた彼女の気持ちが軽くなったようでした。
その後、彼女は部活を続ける決心をし、なんと、その年は全国大会にまで出場することができたのです。チームワークの大切さ、人間関係の大切さを私に教えてくれたこの経験は、貴社においても必ず発揮できるものと思っています。」
コミュニケーション能力が伝わる例文③:留学編
「言葉ではっきり伝えることの大切さを学んだ体験についてお話しします。大学2年の夏、短期留学でカナダに行き、ホームステイをしました。
ある晩、仲良くなったホストに「すきやき」を作ってあげることになったのですが、生卵をみて、ホストの男の子が「げー」といったのです。私は悲しくなって部屋に逃げ帰りました。
これではいけないと、すぐ気を取り直し、「嫌だったら生卵をつけなくてもいいし、日本の卵は新鮮だから、そうする人も多い」ことを英語で説明しました。
ホストはちゃんとわかってくれて、その後は楽しい夕食になりました。この経験から「何事も言葉ではっきり伝えないといけない」ことを学びました。多国籍のスタッフが多い貴社においても、この経験を生かし、仲間や社外の方と円滑にコミュニケーションをとりながら、気持ちよく業務を進め、貢献していきたいと思っています。」
まとめ
企業が求めるコミュニケーション能力とは、相手の話の意図を正確に理解し、自分が伝えたいことを相手に分かりやすい方法で伝えられることです。
これらは業務を円滑に進められること、相手の気持ちや立場に配慮した行動をとり、誰とでも良い関係性を築くことができること、コミュニケーション能力を具体化することで伝わりやすいものになります。
自己PRでコミュニケーション能力をアピールしたいときは、自分自身が主体的に行動したことを、具体的にアピールしてください。「あなた」だからこそできた体験を語ると、採用担当者の心に響く可能性も高くなるはずです!