就活の面接を制する自己紹介のコツとは【例文・テンプレ多数掲載】
人の第一印象がいかに重要かについて、心理学では「印象形成」という分野で今も研究が行われています。アメリカの心理学者ハミルトンは、第一印象が一度ネガティブな方向に形成されてしまうと、ポジティブな印象には覆りにくいとの研究結果も示しています。つまり第一印象が悪いと、その後の面接が良かったとしても内定につながる可能性は低くなってしまうかもしれないということです。そこで今回は、就活の面接を制する自己紹介のコツを例文ともに紹介していきます。
目次
はじめに押さえたい、自己PRと自己紹介の違い
「自己PR」と「自己紹介」、字面が似ており内容も混同されがちですが、両者には明確な違いがあります。自己PRと自己紹介について面接時に質問された際、両者の違いを理解していなければ悪い印象を与えてしまうこともあります。他の就活生に遅れをとらないためにも、しっかりと違いを理解しましょう。
自己紹介とは?
「あなたのプロフィールを簡略して伝えたもの」、それが就活における自己紹介です。具体的には氏名、出身大学、経歴などが含まれ、挨拶や面接に対する心構えが求められることもあります。面接における自己紹介の目的は、面接官に自分という人物像を知ってもらい、その後のコミュニケーションを円滑に進めることにあります。
自己PRとは?
自己PRとは「あなたを企業に売り込む際のポイント」を指します。具体的には長所、強み、目立った特技、意欲のアピールが挙げられます。
自己PRの目的は自分の強みを理解しているか、そして応募先の求める人物像にその強みがマッチするかを確認することです。
自己PRをしてほしいと言われているのに自己紹介をしてしまったり、自己紹介を促されているのに自己PRを始めてしまったりすると、その時点で面接官には「自己PRと自己紹介の違いも分からないのか……」とネガティブな印象を与えてしまうため、両者の違いを明確にしておきましょう。
ついでに押さえたい、自己PRと長所の違い
自己PRと長所。両者は似ているようで、実は違いがあります。
自己PRは「企業にとって有益となる自分の強みを伝えること」が目的です。つまり、企業に対して自分の有益性を宣伝することが、自己PRの本来の目的です。
一方で、長所は「自分から見た、自分の強み」を指しています。そのため企業にとって有益でなくとも構わないので、自己PRよりも見つけやすいのがポイントです。
そのため「長所=自己PRのポイント」ではなく、長所のなかで企業に宣伝することで信頼を獲得することができるものが自己PRのポイントになるということです。
自己紹介の最適な時間とは?
「それでは自己紹介をお願いします」と面接官に言われ、どれくらいの時間自己紹介を行うのが適切なのか、疑問に思う人も多いのではないでしょうか。なかには「1分以内で自己紹介をお願いします」と時間を指定してくる企業もあります。時間を指定された場合は、腕時計を確認するのは1~2回程度にとどめ、時間内に収まるように自己紹介をすることを心がけましょう。
また企業や面接官によって30秒や1分など指定する時間が異なることもあるので、どんな時間を指定されても焦らないよう、バリエーション豊富に準備しておくと安心です。
一方で時間指定されない場合もあります。株式会社クライス・アンド・カンパニー代表取締役の丸山貴宏氏は、面接官に好かれる自己紹介の時間は2分30秒だと主張しています。
(参考URL:https://diamond.jp/articles/-/43235?page=3)
2分30秒あれば、不足なく自分のプロフィールを説明することができますが、重要なのは中身であることはいうまでもありません。「もっとこの就活生の話を聞きたい!」と思わせる自己紹介を用意しておきましょう。また事実だけを述べる自己紹介は、長時間であるほど面接官の印象を悪くする可能性があるので注意が必要です。
面接の自己紹介を制する5つのポイント
それでは具体的にはどのような自己紹介をすればいいのでしょうか。こまかな面接テクニックもありますが、ここでは内定を獲得するための基本的な自己紹介のポイントを紹介していきます。
①出身大学と氏名はセットで、ハッキリと伝える
就活の自己紹介は社会人になってからの名刺交換にあたるので、自分の氏名と出身大学は最初に伝えましょう。「〇〇大学××学部から参りました、△△△△と申します」というように、面接官の手元にあるあなたの応募書類と氏名が一致しているかどうかを確認しやすいように、ゆっくりと伝えましょう。
②応募書類と面接時の発言に一貫性を持たせる
面接官は手元の応募書類を参考にしながら質問を考えています。なかには応募情報全てを頭に入れてから臨む面接官もいるので、応募書類に書いた内容と異なる内容は言わないようにしましょう。
③笑顔と明るい声ではっきり話す
アメリカの心理学者アルバート・メラビアンによると、第一印象に影響を与える情報の割合は【言語情報:7%、聴覚情報:38%、視覚情報:55%】 だと報告されています。言語情報は「何を言っているか」、聴覚情報は「声のトーン、きき聞きとりやすさ」、視覚情報は「その人の見た目」を指します。つまり第一印象をつくるのは、好ましい見た目と声のトーンだということになります。自己紹介をする際には好感の持てる笑顔で、明るい声のトーンで話すようにしましょう。
④面接会場の大きさによって声量を調節する
面接会場が大会議室のように大きな企業もあれば、反対に小さな会議室で面接を行うこともあります。面接会場が大きな場合はおなかから声を出す感覚で、自分では「少し大きいかな」という声量で話してみましょう。一方で会場が小さい場合、声量が大きすぎると浮いてしまいます。会場の大きさに合わせて、声量を調整するようにしましょう。
⑤質問の意図を正確に把握する
「自己紹介をお願いします」「お名前をお願いします」「学校名とお名前を教えてください」など、面接官によって質問は異なります。例えば「お名前をお願いします」とだけ言われた場合、自己紹介をするように促されているわけではないため、「△△△△と申します。本日はどうぞよろしくお願い致します」というように、名前を答えるだけにしましょう。ここで自己紹介をしてしまうと、「質問の意図を理解していないのかな?」と悪い印象を与えてしまう可能性もあります。
面接官に好印象な自己紹介例5選
同じ事実を伝えるにしても、伝え方一つで大きく印象は変わります。面接官に好印象を与える就活生は、どのような自己紹介をしているのでしょうか。
①原体験を交える
○○大学○○学部出身の△△△△と申します。ゼミでは障がい者の就労支援問題について学んでおり、3年間施設でボランティア経験を積むなかで、現場の抱える問題を肌で実感しました。障がい者が笑顔で働けるよう、新しい取り組みを提案させていただきたく、今回応募させていただきました。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
学生時代に経験したことが簡潔に述べられており、志望動機に繋げやすい内容にもなっているため、面接官が理解しやすい自己紹介になっています。
②学生として学んできた内容を交える
○○大学心理学部出身の△△△△と申します。心理学では、集団心理や対人認知について深く学んで参りました。営業職を志望したのは、心理学で学んだ説得のスキルを活かしたいと考えたからです。説得のスキルを用いて相手の態度変容を促すには、科学的に証明されたポイントがあります。本日はそのスキルを活かし、私自身を売り込むことに挑戦したいと考えております。
どうぞよろしくお願い致します。
職種を選んだ理由が明確になっており、入社後どのように活躍していくつもりなのかが明確に記載されています。また面接への意気込みも述べることで、好印象を与えています。
③キャッチコピーで心をつかむ
○○大学××学部出身の△△△△と申します。私は、「変化を恐れない人間」です。以前私が主将を務めていた部活では、先輩方から継承された伝統的な練習方法がありました。しかし私たちの代で試合に勝つためには、別の練習方法が必要だと思い監督に提案しました。結果的に提案は受け入れられ、全国大会で優勝することができました。常に最善を意識し、変化を恐れないことを長所としております。本日は宜しくお願いいたします。
自己紹介の本質は、自分がどのような人間なのかを面接官に知ってもらうことにあります。自分のキャッチコピーを考えておくと、面接官の印象に残りやすくなるかもしれません。
④緊張していることを素直に伝える
○○大学××学部出身の△△△△と申します。ゼミでは女性の働き方について、ジェンダー論の観点から学んで参りました。御社にて女性向けメディアの開発に携わりたいと考えております。少し緊張しておりますが、御社への熱意を伝えきることができればと思います。よろしくお願い致します。
緊張していることを面接官に伝えることは、場を和ませる効果もあります。ただし緊張している旨だけでなく、入社したい理由や想いを明確にして伝えなければ効果が半減してしまうことも。
⑤就活を楽しんでいる様子が伝わる
○○大学××学部出身の△△△△と申します。御社の事業開発部で働くことは、3回生の頃からの目標でした。インターンにも4度参加させていただき、今回面接の機会をいただけたこと、心から喜びを感じております。本日は、私がいかに御社へ思い入れがあるかについて、直接お話しさせていただける素晴らしい機会だと思って臨んでおります。よろしくお願いいたします。
面接では入社後に活躍できそうな人材を採用します。就職活動を楽しむことができる就活生は、苦しい状況でも楽しめる人材だと評価されます。
面接官に印象の良くない自己紹介
面接官に好印象の自己紹介もあれば、印象の良くない自己紹介もあります。面接官に最も聞いてほしい志望動機や入社後の展望を真剣に聞いてもらうためにも、自己紹介のやり方には注意をしましょう。
①短すぎて人物像が伝わらない
準備をしっかりしなければ、本番で緊張して言葉が出てこなかったり、何を話そうとしていたのかを忘れてしまったりします。面接官は自己紹介で大まかな学生像を把握したいと考えているので、氏名のみ、出身校のみなどの短すぎる自己紹介では人物像が伝わりません。軽視されがちな自己紹介ですが、しっかりと準備をして臨みましょう。
②緊張しすぎて笑顔がまったく出ない
「本日は面接を楽しみたいと思います」「笑顔がいいねとよく言われます」という自己紹介をしているにも関わらず、緊張で顔がこわばって笑顔がない学生がいます。緊張することは仕方がない部分もあるので、意識的に口角を上げるように心がけましょう。
③方言や訛りは印象が悪い?
方言や訛りは基本的には避けることをおすすめします。
特に方言は敬語を使用することで避けることができます。そのため方言が出るということは、それだけで印象が悪くなることもあります。訛りは語尾で出てしまうことはありますが、あまりにも訛りがきつい場合、面接官が内容を理解できないこともあります。あなたの魅力を効果的に理解してもらうためにも、きつい訛りや方言は避けましょう。
ただし面接官などが同郷であった場合、お互いに方言で話すことで仲が深まることもあるので、面接官の様子を確認しながら使い所を見極めるようにしましょう。
面接の自己紹介を上達させる2つの方法
面接は得手不得手があるので苦手でも仕方がないと考えている方もいるかもしれませんが、就活の面接で重要なのは「自分の魅力、伝えたい想い」を正確に面接官に伝えることです。そこで最後に、自己紹介を上達させる2つのポイントを紹介します。
就活イベントへの参加
就活イベントでは面接対策セミナーや自己分析セミナーなど、自己紹介でなにを話すか悩む学生にぴったりの内容を教えてくれます。また他校の学生と交流することで、どんな自己紹介をしようとしているかの情報交換もできます。就活生としての知識と経験を得ることで、面接本番でもスムーズに自己紹介をすることができるようになります。
【↓ご予約はこちらから↓】
https://www.meetscompany.jp/
②専門家に相談してアドバイスをもらう
自己紹介がうまくできない、自分にマッチする自己紹介がつくれない……。
そのときは就活専門家に相談するのが一番です。最近では採用担当経験のある方がSNSで相談に乗ってくれることがありますが、直接顔をあわせることでリアルタイムに相談ができ、すぐに疑問を解決することができます。また自己紹介以外にも、自己PRや志望動機など就活全般についてアドバイスをもらうこともできます。専門家の知り合いがいない方は、まずは就活イベントに参加してみるといいでしょう。
まとめ
自己PRと自己紹介、同じ意味に捉えられがちですが、面接官によって質問の意図は大きく異なる可能性があります。本番でしっかりと面接官の意図を察するためには、場数を踏むことが近道です。就活イベントに参加する、専門家に相談するなど方法はさまざまです。第一志望の企業に内定をもらうためにも、事前に準備を整えておきましょう。
<参考>
※1:『ダイヤモンド・オンライン、長い自己紹介、最後のアピールは嫌われる!面接官に好かれる「2分30秒の法則」 | これで絶対後悔しない!35歳からの転職力養成講座 』